通勤電車のちょっと怖い紳士
咄嗟に「怖い」と思い,別の車両に移動しようとしたところ,ペーパーバックのようなものを読んでいることに気づきました。
興味を持って後ろからさり気なく拝見したところ,どうやら単語帳のようでした。
ますます興味を持って,近寄って見てしまいました。
すると,単語帳というよりは熟語帳のような感じでした。
ますます興味が湧きました。
電車が来て,乗り込みました。
もちろん,人並みに流されるような感じで,その紳士に近づきました。
熟語帳?を見ると,相当に年季が入った本であることが分かりました。
カバーは無いのですが,とにかくボロボロで,手垢にまみれた本でした。
どれだけやり込んだたらこんな風になるのか,想像もつかないほど。
本のタイトルが見たくて何とか背表紙に目をやるのですが,結局降りるまでには分かりませんでした。
内容は少し見ることが出来たのですが,相当難しい内容でした。
改めてその紳士の方を拝見すると,シャツやネクタイはパリッとしており,重たそうなカバンを右手で,左手でその熟語帳?のページをめくっておられるのでした。
そのスタイルは昨日今日のものではありませんでした。
察するに,普通のサラリーマンが英語学習をしているのではなく,恐らくはプロの通訳か何かではないかと。
その鞄の中にはクライアントの資料が入っており,思いにも関わらず地面に置くわけにはいかないのではないかと。
会議通訳ではなく,重役の横で張り付く方なので身なりもパリッとしているのではないかと。
そのような勝手な妄想をめぐらしておりました。
いつもと変わらぬ通勤時でしたが,大変良い物を見せて頂きました。
いつもより少し早い時間の電車でしたが,また狙って乗ってみようと思います。